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【沼高】性に関する講話(1年)

 令和6年11月26日㈫、1年生を対象に、八戸学院大学別科助産専攻 別科長・八戸学院大学健康医療学部看護学科教授 髙橋雪子先生を講師にお迎えし、以下の目的のもと「性に関する講話」を実施しました。


目的

・心身の発育・発達に伴う変化を受け入れ、生命の大切さや自他の健康を考えながら自分だけでなく相手を理解し尊重する態度を育む。
・今後の生き方を考えることで、ライフステージには性に関する健康課題が生じる可能性があることを理解し、適切な行動を選択できるようにする。

 

気恥ずかしいけれど、堂々と学ぶ。正しい知識と行動が必要。

髙橋雪子先生

 「高校1年生。性に興味のある年ごろ。みんな不安や疑問にも持っている。大事なのは正しい知識を持つこと。恥ずかしいし、講話の中には聞きたくないと思う内容も出てくると思うので、それは聞かなくても大丈夫。」そう前置きして髙橋先生の講話がスタートしました。

 ”光と影”髙橋先生が好きなスライドだそうです。輝かしい部分があるのは、影があるからこそ。物事の両面を知ることが、正しい選択につながるのかもしれません。

事前アンケートから

 性に関することは、生に関すること。そして自分を知ること。高橋先生からのアンケートを生徒たちは事前に回答していました。写真は、”あなたの一番誇れるところを一つ!”このクラスで一番多かったのは、”善悪の判断が付く”ところ。珍しい結果とのことでした。次いで”明るい””落ち着きがある”。それぞれ、こんな風に自分を捉えているんですね。

事前アンケートの結果
 

 時折笑いを織り交ぜて生徒と対話をしながら、髙橋先生のパワフルな講話は続きます。気恥しい内容も、恥ずかしがるスキがないほど軽快に講話が進みます。

男性と女性の性反応は違います!体の仕組みの違いを知っておきましょう。

 男性と女性の性反応の違いを図を使って解説いただきました。中学校までに学んだことや、これまで見聞きして知っているような感覚でいたことも、改めて知ることは大切です。とても良いタイミングで話を伺うことができたと思います。
 また、月経の仕組みや関連する悩み事への対処法(痛み止めの種類、医師への相談とピルの使用等)についても具体的に例示していただきました。

性の4つの見方

◆体の性
◆心の性
◆好きになる人の性
◆表現する性

 「芸能人でどんな方が思い浮かぶ?」の問いに活発に声が上がっていました。

 併せてLGBTQについてもお話がありました。レズビアン(女性同士が愛し合う)、ゲイ(男性同士が愛し合う)の方は約7%、バイセクシュアルは0.5%と言われているそうです。センシティブな内容になりがちですが、性の4つの見方を知り、多様性を認め合うことが大事ですね。

 

性交の結果、起こりうる危険

 1.予想外の妊娠 2.予想外の性感染症 3.予想外の性犯罪…。予想外のことで生活が、人生が大きく変わってしまう可能性を秘めています。避妊は100%ということはありません。もし10代の今妊娠したら、学業は?赤ちゃんを育てる経済力は?夢は?また、予想外の性感染症にかかるかもしれないし、自分は同意を得たと思っていたのに、相手が不同意という認識であれば、性犯罪の加害者、被害者にもなりかねません。

 
  

 こうしたリスク、可能性があるということを十分理解して、”もしも”を想像した行動をしたいものですね。 避妊についても、髙橋先生おすすめのHPを教えていただきました。


子宮頸がんのはなし

 現在、毎日10人、年間2800人の女性が子宮頸がんで亡くなっているそうです。これは、性行為による感染HPVで罹患りかんするもので唯一ワクチンで予防できるがんです。女性だけでなく、男性にもワクチン投与が始まっています。できることから行動して、健康な人生を送りたいですね。 

3つの性行為

1.生殖の性(子どもをつくるため)
  性教育で女性に焦点があたりがち。月経・射精・避妊、望まない妊娠・中絶、不妊
2.快楽・共生の性(ともに楽しく生きるため)
  体の気持ち良さ 心の気持ち良さ(安心感・一体感)
3.支配の性(支配するため)
  権力・腕力・経済力・という名目で「いいなり」にする AVやAVサイト情報に注意

性行為の意味が3種類もあったんですね。 

プレコンセプションケア

 子供を持つ意思があるか否かに関わらず、前思春期から生殖可能年齢にある全ての人の健康増進のためのケア。妊娠したいときに手遅れにならないために、男女とも今からできる行動があるそうです。チェックシートがあるそうです。
 不妊に悩むカップルも少なくない昨今です。若い時からの生活の仕方でできる対策もあるようです。

デートDV

 男性あるいは女性から、親密な関係にあるパートナーに対して繰り返される暴力や暴力的態度(言葉、身体的、心理的、性的、経済的、デジタル)のこと。これは人権侵害なのです。気が付くことが大切です。
 暴力のサイクル(ハネムーン期→緊張期(興奮期)→暴力爆発期 を繰り返す)から自力で抜け出すのは難しいそうです。適切な相談機関につながることが有効とのこと。
 まずは、自分がデートDVの被害者や加害者になっていないか、友達がそうした状態にないか、気が付いた時点で相談できるように、頭の片隅に入れておきたいですね。

性被害に遭ったら

もしも、性被害に遭ったら、NO!(嫌だと言う)、GO!(その場から逃げる)、TELL!(誰かに話す)。時間がたてばたつほど深刻な状況に陥りがちです。一人で悩まずとにかく相談です。

 

「自分作りの旅(準備期)」

 講話の最後に、髙橋先生からとても素敵な言葉をいただきました。

『思春期は「自分探しの旅」に出る時期と言われますが、私は「自分作りの旅」だと考えます。体を大切にして、しっかり心(脳)を鍛えてたった一度きりの人生、夢を抱きながら誰かの役に立つ生き方ができるように準備してほしいと思っています。』

 
 超絶パワフルな高橋先生のご講話は、情報量も多かったのですが興味深くあっという間の50分でした!
 充実の内容。大人もたくさん勉強させていただきました。
 

生徒の感想

・性感染症についてよく知ることができた。
・LGBTQの人たちが大変そうだと思った。
・デートDVにも種類があり、暴力を振るわれることだけでなく、束縛などもデートDVになるということが分かった。
・第2のプライベートゾーンが”頭”ということ。
・生理が止まる要因や、妊娠の期間など役に立つ話が多かった。
・コンドームを使っても妊娠することが分かった。
・ピルの事はあまり知らなかったので、参考になった。ピルで生理の日をずらせることを初めて知った。
・万が一、妊娠をしてしまった時の体の負荷があまりかからない時期や、緊急避妊法を知ることができて良かったです。また、子宮頸がんで毎日10人、年間2800人もの女性が亡くなっていることを知り、ワクチンの大切さも知ることができました。この講演で習ったことを、これからも頭に入れておき、自分自身や友達などが困った時には助けになりたいと思いました。
・小中学校では学ばないような内容が聞けました。その中で一番印象に残ったことは、避妊具を付けてても、妊娠をする確率がゼロではないということを学びました。いろいろな知らなかった性に関することを学べてよかったです。
・初めて聞く言葉が多かったり、特に性感染症の危険性について勉強になりました。少し緊張したけど性について深く学ぶことができて良かった。
・とても分かりやすい講演会だった。プレコンという言葉を知らなかったが、今回のお話を聞いて理解し、覚えることができた。
・10代のときに性行為したらダメな理由や、妊娠した時あきらめるものが多いことが分かった。
・性感染症などの自分たちが知らない危険を教えてもらって良かったと思う。

生徒の感想より抜粋

 思春期の生徒にとっては興味深くも気恥しい内容を、東京や大阪での助産師としての経験談や、生徒たちとの対話も交え、軽妙な口調でお話しいただので、初めは面食らったような表情だった生徒たちも、最後まで真剣に話を聞いていました。
 ライターNも、”プレコンセプションケア”など初耳ワードもたくさんあり、取材をしながらたくさん勉強させていただきました!いくつになっても勉強です!(^^)!

 沼高生の皆さんには、今回の講話をきっかけに、自分の生き方について少しでも考えてくれたらよいな、と思いました。学んだことを頭の片隅に置いて、人生設計できる人になっていって欲しいです。


 貴重な講話をしてくださった、髙橋雪子先生にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。ありがとうございました。



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